地制調答申から考える私達の自治

 

8月5日、「総務省が自治体をどうしたいと考えているのかを地方制度調査会の答申から読み解く」学習会(神奈川ネット主催)に参加しました。
講師は、地方自治総合研究所の堀内匠さん。自治体って何だろう…という根本的なところから考えるための様々なヒントをもらった学習会でした。以下要点を記します。

地方制度調査会と官邸政策
国の自治行政には地方制度調査会(内閣府の審議会だが事務局は総務省)と官邸政策の2つの流れがある。地方分権改革~三位一体の改革~地方創生戦略~Society5.0といった官邸政策(政権によって変遷し、一貫性なし)の方が注目度が高い。両者は、文脈は別個だが反映しあう関係にある。

第32次地方制度調査会答申
6月26日に、第32次地制調(会長・市川晃 住友林業㈱代表取締役会長)が首相に提出した地方行政の在り方に関する答申は、新型コロナウイルス感染症に加え、深刻化する人手不足に対応するにはデジタル化が欠かせないとして、マイナンバー制度の活用のほか、自治体が利用するシステムの標準様式を法制化することを提言したもの。

対処すべき課題として挙げられた
▽人口減少と高齢化
▽インフラ老朽化
▽技術の進展・ライフコースの多様化
▽大規模災害 と、
課題可決の処方箋として挙げられた
①地方行政のデジタル化
②公共私の連携
③地方公共団体の広域連携
④地方議会における多様性の確保
が噛み合っていない。これは、地制調の前置的組織である省内研究会の結論を(丁寧に貼り合わせず)ホチキス止めしたような答申であることの現れ。

多極分散型ではない連携
特に③「地方公共団体の広域連携」は、中核となる「連携計画作成市町村」を定めて権限と財源を集中し、周辺市町村はその中心市に従う構図となるもので、市町村の対等・平等を損ない、中心市と周辺市町村との間に格差を生じさせるとして批判されている。要は、総務省が描く自治体ネットワークは、多極分散型ではなく、一極集中型(Hub and Spoke型)ということ。中心部が弱体化すればブランチ(周辺市町村)も全て弱体化する。

 

総務省は自治体を統治機構としか見ていない
結局、2000年の第26次地制調答申(地方分権改革)以来の、もっと言えば明治時代から一貫して、政府の自治行政は「行政サービス提供体制=統治機構の維持」ということである。

自治体とは何か、何のためにあるのかを考える時
●コミューン共同体 VS 統治機構
●群民的自治体 VS 機構的自治体
の2種類の各2つの属性が挙げられるが、総務省は統治機構としてしか見ていない。
(なお、地制調答申にある「公共私の連携」の「共」は、公を代替する地域運営組織(例えば町内会)であって、公と関わらない「共」は含まれない。)

内側でも円環を描く
第32次地制調の答申の提言を受け入れて、ICTシステムの標準化、デジタル化が進めば、どこもかしこも判で押したように似通った自治体(「代理可能な自治体」)になっていく。
これに対抗するには、総務省が顧みない部分をつないで「内側で円環を描くこと」が大切だ。コミュニティの延長線上にある自治体 ― 地域の専門家である職員(topocrats)― 地域における自治の実態 の3者をつなぐことにより、「代理不能な自治体」の実現を図る。

特に興味深かったのは力強いカウンターパートを自治体は求めているというところ。

カウンターパートは協働{内側の円環]する相手。

力強くなければ対等でなく行政の負担が増える。しかし、出来ること出来ないことをうまく掛け合わすのが協働のはず。

行政は社会で最も大きな信頼を集める最強のシンクタンク。しかしながらすべての創意は生活現場から産まれる。

二宮町は今高齢者福祉が二宮らしい協働を始めている。

子ども、農、自然環境に関わる動きも磯の様に生まれてきている。

自治{共}は風土と人の関わりの歴史から始まった。

二宮独自の子どもと未来を真中に据えた自治の円環を作りたい.