香害・化学物質学習会レポート

 

イソシアネートの影響を知る

「子どもの免疫を脅かす有害化学物質イソシアネート」

2020年2月2日 かくたこどもアレルギークリニック院長 角田和彦による学習会報告

 

いま世界をコロナウイルスが席巻するが、命を脅かす化学物質の激甚化する被害について多くの人々は無関心だ。化学物質漬けの昨今、二人に一人がアレルギーを持ち、子どもの尿から有害化学物質が検出されていることや、ワクチン生成においては、農薬に汚染された豚のゼラチンからワクチンを作るため、乳幼児に打つワクチンにも除草剤の成分であるグリホサートが検出されていること、新たな免疫増強剤を使った子宮頸がんワクチンの副反応被害者3000人の少女たちの情報についても、人々もメディアも持続的な危機感を持たない。都合の悪い危機は取り上げられない。一体誰に都合が悪いのか?私達の一番大事なものは何か?常に問うていかなければならない。

 

角田先生は、自身の5人の子ども達が皆アレルギーを発症したことから、科学者として「これはおかしい」と東北大学と連携してアレルギーの研究を始めたという。そして、アレルギーは哺乳動物が進化の過程で獲得した化学物質{毒物}に対する防御反応であること、アトピー性皮膚炎は侵入した化学物質を排泄する能力であるとの結論に達した。

 

環境中に増大した化学物質が、粘膜や皮膚の障害、神経系の障害、注意欠陥、血管拡張、免疫内分泌異常、生活習慣病、発がんを引き起こす。そしていま、国内で人工香料による香害で苦しむ人が増えている。すでにカナダでは1991年に無香料運動がおこり、アメリカでは2010年に訴訟が起きたことから、政府官庁、自治体、病院、大学などが無香料方針を採用。香料の成分を開示する企業が増えている。

人工香料はアレルギー症状を引き起こすばかりでなく、猛毒な感作物質であるイソシアネートが揮発するポリウレタン製のマイクロカプセルが香料を長持ちさせるために使われ、様々な影響・被害が広がる。イソシアネートはあらゆるところに使われている。アスファルト、屋根、農薬、柔軟剤、ゴム製品、合成皮革、マットレス、インク、防水、形状記憶、起毛、日常生活でのイソシアネート濃度が職場環境平均許容濃度を超え始めている。角田先生は、イソシアネートの化学構造を示し、イソシアネートにはさまざまな種類があり、すべて化学反応性が高く、環境に広がる有害性を指摘された。

 

環境中や食品中の化学物質による子どもの発達の障害に関して、先生は、2012年に文科省が、発達障害の可能性がある児童は全体の6.5%と発表、2016年には、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、発達障害の児童が、平成17年から平成27年までの10年間で2倍に増えたと発表したことを示し、世界の動向として、様ざまな機関が化学物質・農薬が発達障害を起こすことを注意勧告している事例を説明された。

2012年にWHOが、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が子どもや生態系に及ぼす有害影響を警告。アメリカ小児科学会が、農薬曝露が子どものがんのリスクを上げ、脳の発達に悪影響を及ぼすと公式に声明。2015年には国際産婦人科連合が農薬、大気汚染、環境ホルモンなど有害な環境化学物質の曝露が、流産、死産、胎児の発達障害を増加させていると公式見解を発表している。

 

子どもの化学物質過敏症が増えているのは、脳内の血流が常に揺り動かされ、成長期に受けた影響は後に残り、皮膚の血管も同時に影響を受けるからと共同研究や実験結果、論文を引用し説明。

また、さまざまな化学物質による子どもへの影響を次々説かれた。母体のPCB汚染の幼児への影響や母親の高いDDT曝露が子どもの自閉症リスクを増加させる。有機リン系・ネオニコチノイド系殺虫剤の曝露により、神経の異常な過敏・アレルギー反応の悪化・発達障害を誘発・記憶力注意力の低下・起立性調節障害を引き起こす。さらに、ラウンドアップの成分であるグリホサート・有害なトランス脂肪酸など、環境中の有害化学物質のおびただしい被害の症例に参加者は息苦しくなるほどだった、

 

最後にアレルギーを起こさなくても済む食生活等の処方をクリニックの実践データとともに説明された。

 

トランス脂肪酸、グリホサート、ネオニコチノイドは世界各国で規制、禁止が進むが、日本では規制をかけない方向性であることに驚愕する。

日本はなぜこんなに遅れるのか?

社会の本旨は子どもを守ることではないのか?

子どもは小さな大人ではない。

有害化学物質から受ける影響は甚大だ。何よりも母体の汚染に戦慄を覚える。母乳に汚染物質が凝縮されるという。泣きたくなるほど悔しい。

子ども達の命と人生を守るために、地域で情報を共有し、交流し、化学物質を垂れ流す企業優先の社会から人にも自然にも優しい社会へと変えていく運動を大きくしなければならない。

ここ50年に既に多くの種が絶滅した。

沈黙の春は着々と近づいている。