2018年終戦の日に
2017年のノーベル平和賞が「NGO ICAN[核兵器廃絶国際キャンペーン]」に送られました。10年前より日本、アメリカ、イギリスなどのNGOが日本被団協、各国の平和団体と連携してICANとして核兵器廃絶に向け政府代表への働きかけや一般向けキャンペーンを展開され大きな動きを目指してきました。さらに、ノーベル文学賞は長崎生まれで、被爆をテーマにしたデビュー作で知られるカズオイシグロに送られました。
このことを日本に起きている状況への大きな世界からのメッセージと受け取らずにはいられませんでした。
日本国憲法は世界に類のない優れた平和憲法であることは憲法学者が強く主張するところです。わたしはこの憲法の前文を読むたびに背筋が寒くなるほどの戦慄を覚えます。日本だけで300万人、世界で8000万人の屍と血で贖った祈念、遺産である凄みに圧倒されるのです。その地獄の前に佇む当時の生きた人々の心を本当に理解する人は今どれほどおられるでしょうか。私が子どものころは憲法に指一本触れることは世間が許さなかった。75年間日本を平和に保ち、日本人は憲法を盾に戦争から最も遠い国であった。しかしながら世界で4度目の日本一国でなんと3度目の原子力大惨事が福島原子力発電所で起きてから、日本は激しく劣化し大声で改憲を唱える権力政党が露出し、事故をそして敗戦の学びを矮小化し、国民の、若者や子ども達の未来を売り渡すような拝金主義の政策がまかり通るようになっています。。
2018年の極東アジアの平和に向けて大きく動く機運をわたしたちがどう解釈し、どういう世論を作り発信するかが問われる局面にあると思います。未来世代に日本が世界平和に資する国となれるかどうかの重要な分岐点です。
日本は自然への感性、自然とともにある稀有な親和性を世界に訴える文化を持っています。「人間」という言葉からも「場」を尊ぶ柔軟で創造的なヴィジョンを伝統として持つことがわかります。広島、長崎そして沖縄の祈りは誰に倣うこともない人類の存続への目覚めであり、わたしたちはしっかりと今この時この世界での役目を果たしていかなければならないのだと強く思うのです。