6月議会一般質問「新庁舎建設のヴィジョンを問う」
6月議会は補正予算で新庁舎基本設計委託料が議案に上りました。3月議会と同じ2名の尋常者からさらなる説明といったん計画をストップすることを訴える陳情が上がっていたので陳情審査の後に補正予算の審議をするよう提案しました。
補正予算には以下の論旨で反対、否決されました。
私はこの二宮町が顔の見える小さな自治体として、新しい住民自治のチャレンジをするフロントランナーとなれる社会資源を持っていると思っていましたし、行政よりも議会よりも経験と視野の豊富な町民の智慧を合わせる政治の仕組み、日本人に相応しい対立構造でない豊かなまちづくりを実現したいと考えていました。
いま町民の多くの方々が町の未来を我がことと受け止め議論している。陳情者は自らまちづくりをしたいという情熱を持った方々です。二宮に特色あるコミュティデザインの発想を持っている若いかたがたが反対されている。さらなる対話と社会資源の発掘、協働によるグランドデザインを作り上げるこの機の可能性を活かすべきで主。本当にケアするまちづくり、多くの子ども達が健やかに豊かに育つまちづくりに向けて。自治する力の鉱脈こそ未来への一縷の望みです。合意形成のないまま行政のシステムを優先し、まちづくりの力が失われることを危惧します。
以下一般質問登壇原稿です。。
5月の末に、ラディアン裏に耐震構造による20億円と減額した新庁舎基本構想・基本計画修正案の3回にわたる町民説明会が行われました。行政と町民の大きなギャップを感じる会でした。特に若い子育て中の世代が持つ未来への展望には、行政側の視点と乖離する危機感があったことが強く印象に残りました。
いずれの回も、赤ちゃんを抱えた若いお母様が泣きながら、もっと子供たちの未来を考えてくださいと訴える場面がありました。ここのところ、立て続けに起きた事件のことが影響していると想像いたしました。安心して子供を育てられない、この町を出たくても出られないと訴えられました。
行政はいわばシステムに守られた組織で、現在そして将来の生活の持続可能性についてほぼ危機感というものを持ちにくいのではないでしょうか。町民はこの危機感への回答を施策に求めていますが、行政はあくまでもシステムの持続を優位に置く。結果として、施策は町民の求めるものにはならない。今回の新庁舎の議論で、行政はシステムの持続を説明しましたが、町民が求めるのは未来への展望を持つ具体で最善の施策であります。実際、政治は大きく出おくれ、防災体制はもとより、日本の少子化、つまり子供を産み育て、そして若者を育む力の低下は世界から驚愕される国難レベルであります。
子供たちの自尊意識は低く、若者の自殺率は非常に高い。孤独な若者をめぐるさまざまな非常事態が起きている。岐路の時代は遂に大きな深い崖っぷちの様相を見せているようです。これからの自治体は、国の一律の施策の言いなりにならず、地域やその住民の実情に向き合って真摯に対応していくまちづくりを目指し、本当の結果を出していただかなければならないと思います。
二宮町はどのようなグランドビジョンを持って自治体の役割を果たすのでしょうか。この町を選び住み続けようとする人々、子供を育てる人たち、若い方々、未来の社会のあるべき姿について、目の前のさまざまな生活課題の中から、みずから考え、提案する方々が増えていると感じます。安心して幸せに住み続けられる町の姿を自治体はこういう住民の方々と協働でつくっていかなければならないと思います。
村田町長は市民運動の希有な女性首長であり、町内在住の有名な松下幸之助の片腕であった、市民の力で大国となったアメリカの市民協働、ボランティア論、企業市民という概念をいち早く日本に紹介した経営学者の方や、地域の自然を守り、環境を持続可能にするために、子供を育てながら尽力してきた団塊の世代の方々、吾妻山の開発を阻止し、生ごみを堆肥にしてごみの減量化に貢献、そして啓発し、葛川をきれいにして、子供たちの自然体験学習を牽引し、二宮町に優良な図書館をもたらし、エネルギー問題に警鐘を鳴らし、また太陽光の市民発電所を建設。東大跡地では、子供の自然遊びの実践と不登校や母子のコミュニケーション困難を持つ方々の居場所をつくり、外国籍の子供たちの学習支援を行い、吾妻山の水脈と棚田を復元し、土と食から未来の子供たちの生きる力を支える子ども農園を運営し、子ども食堂を立ち上げる。二宮町のみずからの地域をみずから変えていこうとする人々、町長はこの市民運動から育まれ、そして地域に尽くしてこられました。
まさに今回の2度の陳情者である子育て中のお母さんは、二宮町のフロントランナーであった方々と同じ境遇にある懐かしいエネルギーにあふれた方です。この二宮町に奇跡的に生まれた希有な初の女性町長の2期目の4年の任期で、本当に安心して住み続けられる二宮町をつくれるか。このままではだめだというフロントランナーの気質を持つ二宮の町民力を結集して、物を言う自治体になれるのか。日本全体の岐路なら、二宮町の今が本当の正念場であると確信するものです。
未来に向けて課題解決に有効な行政と庁舎のあり方について議論を深めたいと思います。本来、町民との対話を重ねた上でグランドビジョンをつくり、基本構想・基本計画・基本設計のスケジュールを進めるべきでありながら、国の市町村役場機能緊急保全対策事業債の申請に間に合わせるために、この議論が次の段階に持ち越されるとして、対話が深まらないまま対立する様相であります。
私は昨年の12月議会より、この新庁舎に係る議論を未来に向けた政治システムへの改革を視野に進めることを提案いたしました。現状の行政のあり方を踏襲するような箱物をつくるべきではない。また、防災拠点としての立地条件にも疑問を唱えてきました。しかしながら、私は今の局面を町のまちづくりのチャンスであると考えます。人々は我が事として町の将来、そして子供たちの未来を考えています。
40億円かけて設置したラディアン、そしてその周辺の土地の活用と連携を研究し、さらにあらゆる年代の町民の福祉に資する形に向けて有効に活用する計画は歓迎すべきことであること、また歴代の町長がやり過ごした難題にチャレンジすることを決めた町長の意欲を生かす方策をこの議場で共有したく、以下の質問をいたします。
現在のさまざまな問題解決の方策として注目されているのがソーシャルワークであります。ラディアン裏の新庁舎は専門的な相談機能に効果があるでしょうか。
要旨2、健康福祉にかかわる有効な施策が持続可能な未来に向けてとても重要です。現保健センターの機能についての課題とラディアン裏に配置されることのメリットについて伺います。
要旨3、ラディアン裏に庁舎が移ることで、町の防災機能はもとより、ラディアンを含めたエリア一帯の環境、二宮町のまちづくりにどのような効果を見込むのか。
4、事業には人の考えを変え、行動を変え、習慣を変える力がありますとは、3.11以降、独自のリノベーション事業を始めた二宮在住の若い社会企業家の方の言葉であります。この新庁舎建設事業はどのような力を持つのでしょうか。
5、基本設計、実施設計に至る過程に二宮独自の進め方があるべきだと考えます。二宮に生活する特色ある各種専門家の知見を集めるプロジェクトチームをつくれるでしょうか。
6、「脱・これまでのまちづくり」として人口3万数千人の岩手県紫波町オガールプロジェクトについて、二宮町の参考になると複数の町民からご意見をいただいています。未来を自分たち自身の手でつくるための公民連携プロジェクトでありますが、二宮町の住民は資源とスケールに合ったチャレンジを望んでいます。新庁舎の議論を生かし、町民の知恵と力を合わせ、町内でお金が循環し、コミュニティに資するプロジェクトを創出すべきではないでしょうか。