ダブルケアシンポジウムに参加して

日本学術振興会費「東アジアにおける介護と育児のダブルケア負担に対する介護レジーム比較分析」と題する横浜国立大学アジア経済社会研究センターのプロジェクトとしてのシンポジウムで男女共同参画センターの共催で開催された。

英国ブリストル大学の山下順子氏と横浜国立大学の相馬直子氏が、日本、韓国、台湾香港、中国を対象としたケアレジーム比較分析から、晩婚化+少子化+高齢社会が、ダブルケア世帯増加に拍車をかけていることをふまえて、女性の無償労働に依存してきた、日本と東アジアの女性、家族、コミュニティー社会生活にとってのリスクを明らかにした。

後半はワールドカフェ方式で包括的ケア支援について意見交換した。コンシェルジュ的な行政窓口の必要性や、ケアマネの方々に支援の仲介の機能をになってもらうなど多様な、対策案が出された。

イギリスでは、介護は国が引き受け、両親は子育てに持てるエネルギーを集中  させるとの事。介護と育児を同列におくことに違和感を覚えた私としては、納得のいく施策と感じました。

ダブルケアラーの若い母親が、「子供達は、まだいくらでも取り戻せる。高齢者のかたがたは、もうこれが最期の時間だから悔いがのこらないようにしたいと思う」と発言した。日本女性の敬老と介護の文化が、若い女性の心にはっきりと生きている事に感嘆した。同時に、子供たちが、果たして取り戻せるかと疑問が残った。むしろその二つの思いの板挟みになる精神的なストレスが大きいことが辛いと訴えるダブルケアラーのかたもいた。介護を引き受ける方の多くがこのようなストレスを抱えているに違いない。ダブルケアラーの周知と支援をすすめたいと思う。