故郷の家

二宮町一色地区は農家の昔ながらのお屋敷が並ぶ里山の豊かな風景が広がる地域です。
二宮農園立ち上げに繋がった事務所での「農のプラットフォーム会議」で自然農や炭素循環農法、有機農業に関わる方方との意見の一致をみた 「最後まで移植ごて1本で土に親しみ作物を育てる老人ホームを作りたい」と言うビジョンを体現するおばあ様と出会いました。秋の花に囲まれ土に座って仕事をされるその方は「昭和7年産まれだから、でも具合が悪くても山へ行って密柑山の仕事をすると体がさっぱりとして元気になるのよ」と優しく愛らしく言われました。同い年の私の母は既に施設に居て、95才になる同居の義母は週に2回のデイサービス以外は「つまらないつまらない」と言いながら孫の帰宅を心配する毎日 …人生の最後の時について思わずに居られません。
人生も自然の物語の一部とすると人と自然との関わりである「芸術」と「農」の奥深い文化に大きな鍵があると思います。

原木栽培する椎茸を見せて下さった農家の方、京都の仏閣で見るより凄い素晴らしい鯉を見せて下さった農家の方、もぎたての柿を分けて下さった農家の方…懐の深い暖かさ、ゆったりとした実りと風情のある庭と家屋…一色は宝だなあと実感しました。一色地域全体が「故郷の家」なのでした。